お役立ち記事

技術を競うコンテストへの挑戦が、社員と会社の成長へ

「切削加工ドリームコンテスト」とは

「切削加工ドリームコンテスト」は、「国内において加工業に携わり、切削型工作機械、先端加工機を使用している企業および学校、研究機関を対象に、加工業界全体の技術・技能の交流と向上」を掲げて、2004年から毎年開催されています。

出品部門は、以下の5部門です。部門別に金賞・銀賞・銅賞の表彰があり、さらに技能やアイデアに優れた作品には特別賞が与えられます。

【産業部品加工部門】
自動車・航空宇宙・医療・金型・半導体・新エネルギー
*新エネルギーは風力、太陽光、地熱、中水力、バイオマス発電などに利用される部品が対象

【試作・テスト加工部品部門】
産業に特化しない部品で、加工の技術に特長のあるもの

【芸術造形加工部門】
造形に特長のあるもの

【先端加工部門】
積層造形加工・レーザ加工・超音波加工の技術に特長のあるもの

【アカデミック部門】
高等学校、高等専門学校、大学、職業訓練校で切削加工を学んでいる学生(個人・団体)からの出品

技術向上と腕試しができるコンテスト

当社で最初に「ドリームコンテスト」に出品した田北聖に話を聞きました。

成田工場 工作課 課長 田北 聖

(プロフィール)
工業系の学校でモノづくりを経験する。就職活動で当社の現場を見て、学校で学んだモノづくりと規模の大きさの違いに驚き、2001年に入社。入社後は、クランク課でクランクシャフトの試作品やオリジナル製品の製作に携わる。現在は、工作課の課長として機械・研磨の現場をまとめ、旋盤、縦型マシニングセンターを中心にクランクシャフト、航空機や建設機械の治具などを製作する。

コンテストを知ったきっかけは、工作機械の購入検討のため、DMG森精機 様を訪問したことでした。
DMG 森精機 様には、ドリームコンテストで入賞した作品が展示されており、その素晴らしさに衝撃を受けました。

通常の仕事の中では、純粋な加工技術を社外の方に評価してもらうことや、他社の技術に触れ合う機会はありません。
この、コンテストは誰もが出品可能であり、新鮮な環境で技術を競い合える場で技術の向上に繋がると思い【試作・テスト加工部品部門】に挑戦することにしました。

私が最初に挑戦したのは、2010年の第7回コンテストです。
出品した作品は、「螺旋階段」(らせん階段)で、企画立案から製作まで一カ月で完成させました。
当社がもつ、内燃機のクランクシャフトを製作する技術を使用した作品をイメージして設計しました。

片持ち形状のこの作品は、加工の難易度が高いものです。
まだ経験が浅かったクランク研削盤の技術は、先輩方から伝授いただき、なんとか完成しました。
研磨の美しさと加工精度で、外径と偏芯量共にミクロンの精度で仕上げ。研磨仕上げ後の機械加工では、キレイな仕上げ面に傷をつけないように、かなり神経を使ったことを鮮明に覚えています。
最初のコンテスト出品なので、過去作品にないもので、映える作品を作ることを意識しました。

設計に苦労した「かくれねじ」で銀賞を受賞

 

2012年に開催された第9回コンテストで、作品タイトルは「かくれねじ」です。
この作品は、企画立案に1カ月、設計と加工に1カ月かけて完成させました。

一番苦労した点は設計です。
通常の私の業務は、技術部門が設計した図面からモノを作ることです。
設計図に基づいて製品を加工することは得意ですが、「設計する」作業は不慣れなため、白紙の状態から、どんな作品にするのかアイデアを出して、設計する作業には頭を悩ませました。

この作品の加工のポイントは、狭い溝の内側にネジを切っているところです。
そのため、下記の点を解決する必要がありました。

・狭い隙間の中での加工
・バイト(切削工具)の剛性
・溝の底まで加工できる長さ

解決案として、市販品のバイトをグラインダーで削って専用のバイトを作りました。
しかし、実際に加工作業を行うと、バイト先端のチップの欠損やバイトの破損が発生。
バイトの再製作と切削条件を再検討し、完成するまでに3回やり直すことになりました。

「銀賞」の知らせを聞いたときは、身震いをするほどうれしかったです。
日本国際機械見本市「JIMTOF2012」の会場で、スポットライトを浴びる自分の作品を見たときには感極まりました。
他の受賞作品を見るとレベルの高さを感じますが、そこに肩を並べられたことは良い経験となりました。
入社前から好きなモノづくりを、今も楽しんで関わることができる環境にも感謝しています。
今後も挑戦を続けて、金賞を目指して頑張りたいと思います。

 

先輩から受けた刺激を後輩にも伝えていきたい

田北の部下として働く吉浦ユキオも、2015年にドリームコンテストに挑戦しました。

 成田工場 工作課 機械係 主任 吉浦ヴィットルユキオ

(プロフィール)
2011年入社。機械係に配属されNC横フライスを担当。現在は、CAD/CAMを使用し縦型マシンニングセンターを担当し、修理品の加工から、新規部品の製作など幅広く行う。航空機地上支援器材(GSE)の部品なども製作している。

同じ現場で働く田北が、ドリームコンテストの作品を製作している姿を見て、気になっていたものの、入社したての私には挑戦するほどの余裕はありませんでした。
一通り仕事を覚えた入社4年目に、田北からドリームコンテストへの出品を勧められました。

私が製作した作品は「PARAFUSO NEJI」(パラフソ ネジ)。
「PARAFUSO」は、ポルトガル語でネジと言うので、訳すと「ネジ ネジ」です。
内にも外にも両方ネジが切ってあることから、こう名付けました。

製作にあたっては、外と内のネジを合わせることがとても大変でした。
内と外のネジ切りのスタートさせる位置を合わせないと、噛み合うことができない作品です。

また、本来は旋盤で加工するような円筒形の作品ですが、あえて当時担当していたNC横フライス盤で挑戦したことがポイントです。

旋盤は、加工物を回転させ、旋盤に固定したバイトを操作し、加工物に押し当てて削る機械で、円筒系の製品を作る際に使用する加工機です。

対して、NC横フライス盤は、加工物が固定され、切削工具が回転する機械。さらに切削工具の回転軸が横向きになったものです。

旋盤では主軸に3つ爪又は4つ爪の加工物をくわえるチャックがありますが、このチャックでくわえられる加工物には限界があります。
そのような案件に対しては、NC横フライス盤にTAセンターと呼ばれるアタッチメントを使用し、加工します。
この技術は当社独自のもので、企業アピールにも繋がると考え、この加工方法で挑戦しました。(通常の仕事では、大型機材などの一部の軸を加工する際にこの加工技術を使います)


ドリームコンテストでは、入賞することはできませんでしたが、日本国際機械見本市JIMTOFに、私の作品も展示されました。
たくさんの方が自分の作品を見てくれている光景にとても緊張しました。
会社をアピールする良い機会にもなったと実感しました。

私が田北から受けた刺激を、今度は私が後輩たちに与えることができたらいいなと思っています。その際には、先輩がサポートしてくださったように、後輩をサポートしていきたいと思います。

当社の資格取得のサポート体制

当社では、人材育成のため、コンテストの参加だけでなく、各種の資格取得も奨励しています。資格取得の費用は会社が負担し、設備の貸出や材料の支給、また、取得後には資格手当を支給。

また、先輩社員による講習会や模擬テストの開催、個別指導など、部門ごとにバックアップ体制も整えています。推奨している資格の一部を紹介します。
・技能検定(機械加工)
・非破壊検査(磁気探傷・浸透探傷等)
・溶接JIS資格
・自動車整備資格
・機械設計・機械製図
・機械検査

以上