プロジェクト事例

シンガポールから依頼を頂いたプラント設備新設の工事

作成者: 堀口エンジニアリング編集部|2023.03.28

現地パートナーシップの開拓と、お客様の課題解決

 古くからお付き合いがあったF社工場長様がシンガポールへ転勤され、現地ではプラントメンテナンスを依頼できる施工業者が見つからない旨の相談を受けました。
ご協力方法の検討を進める中で、過去に当社のシンガポール支社(現在は閉鎖)に所属していた外国人社員の協力により、現地施工業者を見つけ、当社とともに古い撹拌機の現地での分解点検整備案件の対応を行いました。
ただ、やはり、言語や文化の違いからくるコミュニケーションが一番の難題となりました。
これ以降もF社様からのご相談が続く中で、日本国内でのパートナーシップの延長で様々な日系の現地施工会社を見つけることができました。
月に2回ほどシンガポールに赴き、F社様への伴走を行う中で新たな依頼として、ニーダーのオーバーホールや設備機器部品等の新規製作など、実績を積んでいく中で作業領域を拡げていくことに成功していきました。
その後、今回ご紹介したいプロジェクト、「オイルブレンディング装置の現地設置工事と充填機納品」の案件依頼を頂くことになりました。

オイルブレンディング装置とは

オイルブレンディング装置は、複数の食品添加剤用のオイルを混合するための装置で、ベースオイルと添加剤を混合して製品となります。
装置はタンクやポンプ、バルブ、計量器などから構成されており、タンクには入れられた混合するオイルを、ポンプで吸い上げて送り出す構造になっています。
充填機はオイルブレンディング装置で混合されたオイルを、定量でボトリングする装置です。ボトル、ペール缶など、必要量を計量して充填します。

思わぬトラブルが、、、

そんな中、新型コロナウィルスまん延により、渡航制限や規制が大きな問題になりました。
「渡航規制の為の書類準備」「渡航者のホテル待機規制」「一般の交通機関制限」など現地工事作業に入る前から不慣れなことが生じることになりました。
厳しい渡航制限もあり、ビジネストラック(政府からの渡航承認)にて渡航することとなり、日本からの出国前とシンガポール入国時でのPCR検査における陰性証明、行動予定表などの書類提出、数日間のホテル内での隔離がありました。また、公共交通機関を使えないことや「いつ、どこを訪問したか?」を記録するために、政府指定のアプリをスマートフォンにインストールし、あらゆる場所に掲示されている「QRコード」を読み取ることが外国人を含めすべての人に義務付けられていました。

海外プロジェクトのよくある課題とその解決

話を戻しますと、今回プロジェクトの課題は、大きく二つありました。
①    どこで設備を作るか?
 「シンガポールで製作できる会社は探す」 or 「日本国内で製作し、現地へ運搬する」
②    プラントへの設備据付をどうするか?
 「シンガポールに作業可能な業者が探す」 or 「日本から作業員を連れて行く」

この二つ課題を、予算や納期等を考慮して最善の方法を検討していく中で、実際の作業は「日本国内で製作し船で運搬後、現地で作業可能な業者」を選定する事にしました。

オイルブレンディング装置、充填機を日本国内で製作し、船便で輸送し、配管や電気配線を現地で接続。
据付においては日系の現地施工会社との連携により自動バルブやオペレーションソフト、前工程との通信など、調整とテストを繰り返しました。
ただし、コミュニケーションのしやすさを重視し日系企業を早い段階で選定できていたため、現地作業はかなりスムーズに行い、無事に工事を終えることができました。現地作業員及び事務所の確保など、海外事業ではかなり大きな案件と経験になりました。