プロジェクト事例

メーカーが事業撤退したバンバリーミキサーのメンテナンス

作成者: 堀口エンジニアリング編集部|2023.03.28

ウェブサイトからのお問い合わせ

 今回、ご依頼くださったお客様が、2020年夏に大規模な改修工事を予定していたところ、既存の施工業者が辞退したため急遽、施工業者を探すことになったそうです。同社としては、新たな修理パートナーとの取引開始は10数年ぶりのことだそうです。
Web検索すると当社のホームページがヒットし、お問合わせを頂いたことがきっかけで、当社の過去実績や作業領域をご案内させていただき、お仕事がスタートしました。

補修するバンバリーミキサーは、容量240ℓ、本体重量として約15トン

今回ご依頼頂いた案件は、バンバリーミキサーのドロップドア、減速機、カップリング製作・取付け作業でした。バンバリーミキサーは混練機とも呼ばれ、ゴムの原料やプラスチック樹脂の原料を混ぜ合わせて所定の性状を得るための装置(機械)です。また、練り加減が比較的軽いニーダーという機械もあります。どちらも軸にねじれた羽根がついたローターが2本逆回転で廻り、ジャケットで加熱や冷却されたケースの中で原料を混ぜ合わせます。

補修するバンバリーミキサーは、容量240ℓ、本体重量として約15トン、高さにして、吹き抜け3階の高さまである大型の機械でした。本来、整備対象の設備を分解・切り離しを終えたら、設備ごと社内工場に持ち帰り修理しますが、今回のバンバリーミキサーは本体が大きく、更に作業現場が工場の奥にあるので、外に運び出すことが困難と判断しました。
その為、電動ホイストといった電動巻き上げ機や資材を現地に持ち込み、分解・修理・組立の作業を行うことにしました。分解した、手を加えない部品は、お客様工場の2F~3Fへ保管することになりましたが、カバー等各部品の重量が重く、床が抜け落ちてしまう可能性があるため、床の補強を行い、安全に部品を保管できるように対策を致しました。

思わぬトラブルが、、、

分解作業が進み、同時に他の設備の撤去、必要な治具も製作し、工事計画を練りながら進めていたところ、大きなトラブルが発見されました。オイルを抜いた際にも鉄粉が確認されていたが、中身を確認したところ一番力のかかるギアの歯面が“経年劣化”により破砕。ケース内には、破砕したギアの破片が散乱しておりひどい状況になっていました。
稼働率の高いミキサーで、早い復帰を指示されていたため、応急処置として、ギアの歯面を削り、歯車同士を均等に当たるように加工することで対応しました。
また、歯車のスケッチを行い、後日に新規製作を出るよう作業し、今回の工事日程とは別に入替作業を施行できました。

お客様工場での慣れない構内ルール、安全対策のための重装備・安全保護具の着用指示、さらに猛暑での体調管理や新型コロナウイルス対策もしなければならない過酷な状況下での作業となりました。工事では、相次ぐトラブル発生にもかかわらず、なんとか予定通りに進み、無事に試運転まで完了することができ、お客様より補修工事において多大な貢献をしたと表彰を受け、課題解決に繋げることができました。

メーカーが事業撤退した設備・製品のメンテナンス

バンバリーミキサーのほとんどの製造メーカーは、現在において部品の供給を行っておらず、製造メーカーを頼ることができません。当社では、今回のように現品を見本としてスケッチを行い、新規製作を行うことで復旧することも可能です。
また、バンバリーミキサーの事例としてよくある修理として、ミキサーボディの改造・修理なども得意とします。ミキサーボディ内径面は、スクリューにより原料が混ざりあわされますが、このミキサーボディ内径部分が特に摩耗します。摩耗箇所を修理する一般的な手法としては、「肉盛り後加工」「オーバーサイズ加工後、ライナー圧入」などがあります。肉盛り後加工は、本体の摩耗箇所に直接溶接ビードを盛ったあと、機械加工を行いますが、熱の影響でひずみが発生するので、本体へのダメージが出ることがあります。
当社では、肉盛り後加工ではなく「オーバーサイズ加工後、ライナー圧入」をおすすめしており、この工法では、熱ひずみの影響が少なく、本体へのダメージを軽減させます。
また、ライナー圧入式でないバンバリーミキサーでもライナー式に改造するノウハウがあり、「肉盛り後加工」と比較し工数・工期も抑えることができるため費用低減につながることもあります。
メーカーが事業撤退したバンバリーミキサーやニーダー、その他設備の修理や、製造中止された部品の手配にお困りのお客様は、是非当社に一度ご相談ください。